車いすの選び方|理学療法士がわかりやすく解説

リハビリの基礎知識

はじめに:車いす選びは「身体 × 利用シーン × 介助者」で決まる

車いすは見た目が似ていても、使用者の身体状況や利用シーン、介助者の負担によって選ぶべきモデルが大きく変わります。

  • 身体に合わない → 姿勢が崩れて疲れやすい
  • 利用シーンに合わない → 操作しにくい
  • 介助者の負担が大きい → 腰痛や事故につながる

この記事では、理学療法士としての経験をもとに、初心者でも迷わず選べるように解説します。

車いす選びで最初に確認すべき3つのポイント

① 使用者の身体状況

  • 体格(座幅・座面高)
  • 体幹の安定性
  • 長時間座位が可能か
  • 自走できるか

② 利用シーン

  • 自宅中心か
  • 外出が多いか
  • 施設での短時間利用か
  • 病院での移動中心か

③ 介助者の負担

  • 車いすの重さ
  • 押しやすさ
  • 段差越えのしやすさ

車いすの種類(機能面の分類)

① 標準型車いす

特徴

  • 丈夫で壊れにくい
  • 価格が安定
  • 重い(13〜16kg)
  • 調整幅が少ない
  • ノーパンクタイヤが多い
  • フットレストは固定式が多い

② モジュール型車いす(標準型の上位モデル)

特徴

  • 座面高・背張り・フットレスト角度が調整可能
  • 身体に合わせやすい
  • 脱着式フットレストが多い
  • 移乗がしやすい
  • 折りたたみがコンパクトなモデルもある

多くの施設で選ばれる理由

  • 移乗が安全
  • 姿勢の調整がしやすい
  • 介助者の負担が少ない

③ 軽量型車いす

特徴

  • 10〜12kgで扱いやすい
  • 折りたたみが簡単
  • コンパクト収納
  • ノーパンク or 空気タイヤを選べる

家庭での利用や外出が多い方に向いています。

④ 多機能型(リクライニング・ティルト)

● リクライニング型

  • 背もたれが大きく倒れる
  • フルフラットに近いモデルもある

● ティルト型

  • 座面ごと後ろに傾く
  • 姿勢保持に優れる

● 複合型(リクライニング+ティルト)

  • 姿勢保持に最も優れる
  • フルフラットに近い姿勢が可能
  • エレベーティング標準装備が多い

多くの施設で選ばれる理由

  • 姿勢が崩れにくい
  • 姿勢の調整がしやすい
  • 体圧分散に優れる
  • 褥瘡予防に効果的

座位保持が難しい方や、寝たきりに近い方に適しています。

タイヤの種類(乗り心地と操作性に直結)

① ノーパンクタイヤ

  • パンクしない
  • メンテナンスが楽
  • 乗り心地は硬め

② 空気タイヤ

  • 乗り心地が柔らかい
  • 段差が越えやすい
  • 押す力が軽い

外出が多い方には空気タイヤが快適です。

フットレストの仕様(固定・脱着・角度調整)

① 固定式

  • 標準型に多い
  • 丈夫だが移乗時に邪魔になることも

② 脱着式(スイングアウト)

  • モジュール型・軽量型に多い
  • 移乗が安全
  • 介助者の負担が少ない

③ 膝足角度調整(エレベーティング)

  • 膝を伸ばした姿勢を保持
  • むくみ・疼痛に有効
  • 標準型では別売りが多い

サイズの選び方(座幅・座面高・背もたれ・クッション)

① 座幅:指2本分の余裕

広すぎる → 姿勢が崩れる 狭すぎる → 圧迫

② 座面高:かかとが軽く床に触れる高さ

高すぎる → 足がブラブラ 低すぎる → 膝が上がりすぎる

③ 背もたれの高さ

体幹が弱い → 高め 自走が多い → 肩が動くよう低め

④ クッション

長時間座位なら必須 褥瘡予防・姿勢保持に効果大

利用シーン別のおすすめ

自宅中心

  • 軽量型
  • コンパクト折りたたみ

外出が多い

  • 軽量型+空気タイヤ

施設利用

  • 標準型 or モジュール型

座位保持が難しい

  • ティルト+リクライニング

失敗しないためのチェックリスト

  • 座幅は指2本分の余裕
  • 座面高はかかとが軽く触れる高さ
  • クッションは必須
  • タイヤの種類は用途に合っているか
  • フットレストは脱着式か
  • 自走か介助か
  • 利用シーンに合っているか
  • 姿勢保持が必要か(ティルト+リクライニング)

まとめ:車いす選びは“身体 × シーン × 介助者”で決まる

  • 身体に合ったサイズ
  • 利用シーンに合った種類
  • 介助者の負担を減らす操作性
  • 姿勢保持が必要な人には多機能型
  • 移乗が多い人にはモジュール型

これらを押さえることで、使用者も介助者も安全で快適に過ごせる車いすが選べます。


【この記事の執筆者】

usagi.inco(理学療法士・福祉住環境コーディネーター2級)

理学療法士として18年以上、高齢者リハビリテーションに従事。現在は特別養護老人ホームで勤務し、介護職員への介助技術指導、転倒予防、褥瘡予防、リスクマネジメント活動などに携わっています。

▶ 運営者プロフィールはこちら

コメント